人生最悪の瞬間
今まで生きてきた中で最悪だったときはどんなとき?人生最悪の瞬間を紹介します。

真冬の夜の事件

2011/05/22

それは、12年前のある寒い日のことです。その日は特に寒く、香住町にも降り続いた雪が積もっていました。夜に家の近くで用事があり、夫婦で出かけてきました。

凍えるように寒い中、体をさすりながら家に帰ってきました。出かけたのは家の近くだったので、そこまで重装備に防寒していなかったのです。雪国に住んだ経験のある方はお分かりの通り、長時間外に出るか短時間の外出かで冬場の装いはかなり異なります。それでその時の私たち、ほんの少しそこまでという装いでした。あ〜寒い寒い早く家に入り温まろう。そう思っていました。鍵を手にし、ガラスの引き戸タイプの玄関ドアの鍵穴に差込み回しました。

そのとき、いやな雰囲気です。最近、鍵が以前に比べて、若干開きにくくなったなあと感じていました。回す際に、力がいるようになってきていたのです。そして悲劇が起きました。鍵が鍵穴に入った状態で、ちょうどはまった部分を残してパッキリと折れてしまったのです。

しばらく、起きた事を信じたくない自分がいました。夢であってほしいという、というか、こんなとき人間は逆に、えへへ、えへへ、となってしまうのが不思議です。起きた事態を飲み込めないように、自分を保護しているのかどうか分かりませんが、起きた瞬間、「あれっ」と言って、その後2秒ぐらいその「えへへ」状態があります。そのときもそうでした。そして、えへへの後に、恐怖の現実を脳がやっと読み込み始めます。このきんきんに冷えた寒い中、今晩どうするのかということです。2、3分思案し、最初考えたのは、鍵をかけていない窓がないかどうかでした。こんなときほど、厳重に戸締りをして家を出てきて後悔したことはありません。

寒い中震えながら考えました。都会でないので、鍵屋がすぐ飛んできてくれるような便利なところではありません。自分の地元でもないし、気楽に呼びつけられる親戚なんかありません。友達は町にいますが、家に行き無理に泊めさせてもらうのが果たしていいかどうかです、しかも、この雪の降り積もった夜中に大変です。しかたない、最後の手段です。ガラス割り進入。雪夜にひびく〜ガラス割れる音〜。シベリア抑留の兵隊さんの気分を味わえた夜でした。

ライタープロフィール

チャウチャウさん/男性/年齢:30代/中国 黄土高原在住/最初、中国の犬たちにはまりましたが、最近、中国の大木に、は まってきています。