私の生きるとは
生きるとは?…生きることについて、みんなの思いを紹介します。

もう一度生まれてきたら・・・

2010/05/25

この質問をされた場合、ほとんどの人が、もう一度同じ国で、同じ環境に生まれてくることを想像するのではないでしょうか?そして、同じ状況でも、「今度はもっとうまく生きてやる」とか「勉強して○○になりたい」などと夢見ることがあるかもしれません。

もちろん、「どうせまた失敗して、しんどい人生が待っているだけ」だと悲観的な考えに陥る人もいるでしょう。「こんな苦労は二度と嫌」だと再び生まれてくることを拒む人もいるかもしれません。

けれど、その根本には、「日本にもう一度生まれてくる」という思い込みがあるのではないでしょうか?あるいは、「日本と同様の生活水準と倫理観のある国に、外国人として生まれてくる」と漠然と想像しているかもしれません。

ただ、そんな国に、もう一度生まれてくることができるのでしょうか?

世界には数えきれないほどの国がありますが、その大半が日本と同様の生活水準や倫理観のある国ではないのです。むしろ、そんな国のほうが少ないのです。

たとえば、アフリカ諸国では、臓器を売買するためだけに製造され誕生する赤ん坊がいます。アジア諸国では児童買春組織に売り飛ばされ、病気になるまで奉仕を強いられ、幼い命を落とすことも日常的に行われています。ゴミ捨て場に住み、毎日の生活の糧がゴミ収集車から排出されるゴミの中にあるという人もいます。

それほど極端でないにしろ、一日の食事がバナナ1本とイモ1切れ、小魚1匹なんて人はざらにいて、両親には年に1度程度しか会えず、親戚や近所の人に育てられているような子供もごまんといるのです。

そんな国に子どもとして再び生まれてきたとしたら・・・。

日本という国に生まれてこられたのは単なる偶然に過ぎません。神様の気まぐれで割り当てられたのかもしれないでしょう。けれど、この日本に誕生したことは、生まれながらにして宝くじに大当たりしたようなものだと思います。はっきりいって、これは不公平な話です。かといって、世界を瞬時にして公平にすることなど残念ながら誰にもできないでしょう。

そんな持って生まれた大幸運にただ感謝して喜んで年を重ねていくことが、生きるということだとわたしは思います。

ライタープロフィール

山下なおこさん/女性/年齢:30代/ニュージーランド滞在(16年以上)、自然と素朴な料理が好きな女性です。