- 感動した話
- 思い出すとジーンとくる…感動した話を紹介します。
不死鳥ならぬ不死牛
2012/12/25
私は感動をあまりしない方かもしれません。よくスポーツやオリンピックなどで金メダルを取ったシーンをみて泣いている方が居ますが、私はスポーツや映像で泣いた事が無く、何で感動出来るのだろう?といつも疑問に思っていました。そんな私ですが、唯一感動した出来事があります。それは仕事での出来事の話です。
私は以前酪農家の家でアルバイトをした事があるのですが、そこには数十頭の牛が居て、毎日牛乳を出荷していました。牛舎はとても臭く、最初の頃は「何でこの仕事をしたのだろう」といった不満と後悔で一杯だったのですが、次第に仕事を行う上で酪農が楽しくなってきて、牛にも愛着を沸くようになりました。
酪農業はとても厳しく、牛に愛情を持ってはいけなかったのですが、生まれて大人になるまでに餌をあげたり、色々な面倒を見ていると自然と愛着が沸いてしまい、つい名前を付けてしまいます。ただ酪農家にとって牛は経済動物でもあるので牛乳が搾れなくなってしまった牛はすぐに処分されてしまい食肉にされてしまうので、時には非情にならなくてはいけません。私が長年面倒を見てきた牛も足を怪我してしまい、立つことが出来ず処分されてしまった時はすごくショックでした。
亡くなった牛を処分される時にはまだいいのですが、生きている牛を連れて行く時には、牛も察するのか涙を流しながら泣くので、とても辛い思いをしました。
そんな辛い経験を乗り越えて仕事をしているとまた一頭病気になった牛が居ました。この牛は私が子供の時から育てた牛で、乳が搾れるようになってからもよく面倒を見ていた牛だったのですが、食欲不振になってしまい、餌を食べなくなり、獣医に見てもらったところ明日処分した方が良いという判断だったので、「明日お別れか・・・」と思って別れを悲しんでいたのですが、次の日の朝になってみると普通に餌を食べており、獣医もびっくりするくらいの回復力を見せてくれました。
職員の話では「明日処分されるという言葉を聞いて焦ったのでは」という冗談も飛び出すほど、すごい回復力を見せてくれたので感動をしない私でしたがふと感動してしまいました。
その後その牛は不死鳥というあだ名を付けられ10歳以上も生きましたが、牛が言葉を理解できるとも思えませんし、とても不思議な出来事でしたね。
秋山学さん/男性/年齢:30代/群馬県在住/ライター歴約9年位です。今までに男女問わずライターをさせていただき、ジャンルを問わないライターを心がけています。