チリってどんな所?
「チリ人のスペイン語」「チリの物価と、通貨」「チリの湖水地方、プコン」「チリ人ってどんな人たち?」などチリについて紹介します。

チリ人ってどんな人たち?

2017/04/03

チリ人を一言で表すと、「自分のことをチリ人というより、ヨーロッパ人と思っている」でしょうか。南米大陸のひとつの国の国民というより、「元々自分の祖先はスペイン人(またはイタリア人、ドイツ人、などなど)で、たまたま自分はチリにいるだけ」という意識の人がとても多いです。その証拠に、聞いてもいないのに祖父母がどこどこの国の人で、という話を始める人がたくさんいました。

これはアルゼンチン人にもよく見られる傾向です。白人人口が高い国、というのが共通していますね。おそらく、ヨーロッパの国々への劣等感の裏返しとしての優越感みたいなものでしょうか。

チリという国への帰属意識が薄いというのは、単一的な文化からもうかがい知れました。チリ料理といっても特別なものがあるわけではなく、肉、パン、じゃがいもなどのどこにでもある欧風料理という感じ。チリにも先住民はいるのですが、その文化の影響はまったくみられません。先住民の意匠が入った服や小物などもほとんど見かけませんでした。何か徹底して避けているような印象がありました。ボリビアやペルーなどとは対照的です。

アジア人に対して差別的、という印象はまったく受けず、むしろとてもフレンドリーだとは思いました。レストランで食事をしていると、隣のテーブルの人が話しかけてきたり、ホステルのスタッフなども積極的に話をしたがったり。全体的な印象としては、穏やかで人懐っこい感じがしました。

国としてのチリはしかし、宗教的に保守的なことで有名です。先進国と言ってもいい国ですが中絶は認められておらず、最近でも、実父にレイプされた14歳の少女が中絶の権利を求めて裁判を起こしたが敗訴した、というケースがありました。開放的な雰囲気とは裏腹に、カトリック色が強い国なのです。

旅行者としてあまり影響されることはないかもしれませんが、こういった国のカラーを知っておくと、チリを訪ねたときまた違った視点が得られるかもしれません。

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ライタープロフィール

そま ちひろさん/女性/年齢:30代/中南米(2013年現在)/フリーライターおよび翻訳業。お気に入りの国はインド、住んでみたい国はスペイン、そして現在は南米を縦横断中、という矛盾だらけの人生を満喫しています。著作に「ヘラクレイトスの水」(大宰治賞2009収録)。