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モロッコ/ラクダの影が砂丘に落ちる時。サハラ砂漠

2012/12/07

モロッコ ラクダの影が砂丘に落ちる時

モロッコ ラクダの影が砂丘に落ちる時

「砂漠最高!!」と熱く語っていたら、「なんで?何もないじゃん」と、冷たくあしらわれたことがある。でも、私は断固として否定したい。建物もない。植物もない。人も動物もいない。なにもない砂丘と、空と、太陽と月と、それだけしかない世界にこそ、多くのものがあると、サハラを訪れた時は、思わざるをえなかったからだ。

もう今から7年以上前のことになるので、うろ覚えのことも多いのだが、その時私は大学生で、1ヶ月近くモロッコを一周していた。マラケシュ、フェズ、カサブランカ・・たしか初めて訪れたイスラム圏の国で、敬虔な眼差しを持った行きかう人々や、朝聞こえてくる祈りの声に、驚いたりもした。市場の煩雑さ、迷路のような路地を走るロバ。魔法のじゅうたんが飛んでいそうな町の光景。どれもすごく新鮮だった。

ただ私にとって、それ以上に心に焼き付いてしまったのが、サハラ砂漠の風景だった。街をひたすら、東へ。南へ。車に揺られてひたすら平らな大地を走っていくと・・突如その砂丘は現れる。夕方の赤い光に照らされて、波打つように砂の山が、広がっている。こんなところに人間が立ち入ることができるのか・・その広大さに、ただただ呆然としていた気がする。

ここからは、数名のグループでキャラバンのようになり、ラクダに乗って砂漠のキャンプへ向かう。振り落とされそうになるのを必死にこらえながら、ただ砂の大地をまっすぐ、まっすぐと。何もない砂漠を歩いていると、時間の変化が本当によくわかる。空の色、地面の色、影の位置。その変化が、地球が動いている証拠だった。昔の人が天文の知識に長けていたというのも、わかる気がする。

キャンプに着く頃には、真っ暗な夜になっていた。簡単な夕食をとったあとは、太鼓などを使った民族音楽が奏でられ、火がともされる。昔、絵本の中で見たアラビアのイメージそのままである。

星が明るい。でも、見えているのは、キャンプ以外には、砂の丘だけ。
キャンプ引率をしてくれていた案内人に付き添ってもらい、夜の砂漠に駆け出してみる。思いっきり走ると、足が砂に埋もれ、なかなか前には進まない。キャンプから一度離れてしまうと、もはやどっちに何があるのか、さっぱり方向がわからない。そして、砂の上に寝そべる。ぼーっと空を見ていると、そのうち地平線が次第に赤くなる・・・

朝が来た。夜が来た。ラクダが砂丘に落とす影がきれいだ。世界は、それだけで、いいんじゃないか?いまこの世界に生きているのは、そんなに難しいことではなく、シンプルなことなんじゃないか?そんな気持ちになれるのが、砂漠という場所だと思う。アラビアの風を感じながら、モロッコに来たら砂丘に一足のばしてみませんか。

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ライタープロフィール

中花香さん/女性/年齢:20代/鎌倉出身/会社員/海外旅行、バイオリン演奏、ライブなどが趣味。好きなものは映像、絵本、仏像などです。